つれづれづれづれ
25歳。港区勤務。手取り大体24万円。残業なし。交通費支給。
ランチの予算は800~1000円。
賞与はないけど同期よりは余裕のある暮らし。
雇用形態は今何かと話題の派遣社員。
ドラマほど酷くはないが、それなりに正社員の尻拭いをしながらも、気楽に働ける立場。
元々社食はないので別にそれほど待遇が悪いとは思っていない。
むしろ、残業や休日出勤が当たり前になっている正社員を見ていると、派遣でよかったとすら思う。
派遣の待遇は言われるほど悪くないと私は思う(働く場所がまともならば、の話だが)。
社員の仕事量や能力と比較したら納得いかないこともあるが、それはまあ仕方のないことで。
正社員は会社の奴隷だ。その代わりに、ミスがあっても無能でも、雇用が保証される。
「驕れる正社員は久しからず~」とは某ドラマの決まり文句だが、正にその通りだ。
切るのは簡単だが、派遣が労せずにこなしていたからといって、正社員が誰でもその仕事をこなせるわけではない。
派遣の順応性は、一般に正社員よりも高い。様々な企業を渡り歩く中で、スキルは蓄えられ、対応能力は上がる。実務経験の中で培われる能力値の差は、社歴では埋められない。
現場の人間はそれをわかっているが、上層部はわかっていない。
コロナ禍による雇い止め。
破産も他人事ではない業界ゆえに、漏れなく私も犠牲者のひとりとなった。
同部署の派遣社員は全員雇い止めだ。
暇になった部署から補充された正社員に仕事を引き継いだものの、理解力や処理能力に不安を感じている者は少なくなさそうだった。
「7月からどうなるのか……」「仕事がうまく回る気がしない」
口々に言われたが、究極的には知ったこっちゃないというのが我々の本音だ。
直接雇用の話が出ていたということを聞いたのも最近だったが、もはやタラレバの話に過ぎない。
派遣社員は傭兵のようなものだ。
安定の代わりに自由がある。忠誠心よりも技能を売る。
この働き方は哀れまれることも多いが、気に入っている。
ただ、居心地が良くても離れざるを得ない状況があるのは残念だが。
雇い止めは仕方のないことだし、良くしてもらっていた職場に恨みはない。
どうか、この危機を乗り越えられることを祈っている。
わりと真面目に生きてきたのに社会人になったらクズになったけど人生楽しい。
小学生から成績優秀。中学校では良くも悪くも有名人。高校は進学校。
大学は都の西北でお馴染みの某私大。いくつか資格を取ってストレートで卒業。
人間関係や恋愛以外は、それほど苦労もしない学生時代だった。
社会に出てから大変だった。いや、社会に出る前から大変だった。
コミュ障をこじらせた喪女にとって就活、特に面接は鬼門だ。
内定が取れず、それでも理想を捨てきれず、教育実習を言い訳に卒業後まで就活を続け、なおかつ「やりたくないことはやりたくない」とこだわり続けた結果、まともな同級生から2ヶ月ほど遅れて音楽業界に就職した。
業界の中でも引かれるほどのブラック企業だった。詳細はそのうち。とりあえず結果としては、3ヶ月で辞めた。何もないのに涙が出るようになって逃げた。
安月給だったが、使う暇と気力がなかったので、2ヶ月ほど遊んで暮らせた。
今は非正規で働いている。某ドラマでもお馴染みの派遣社員である。
派遣社員という働き方は非常に水が合った。
学歴も職歴も人間の評価に関わらない。
若いからといってパワハラに晒されない。
定時に来て定時に帰れるし、休みも取れる。休日出勤もない。
派遣先にとっては所詮他人だから、ある程度距離を保って尊重してくれる。
面倒な社内政治に関わらなくて済む。
わからないことを訊ねても理不尽に怒られない。
始めから実践的な仕事ができる。
ストレスは少ないのに同世代よりも給料が高い。
勿論、雇用は必ずしも安定しない。急に契約を切られることもある。
賞与や退職金もないし、(職場によるが)基本的に福利厚生も得られない。
確かにデメリットではあるが、それを差し引いても心身ともに楽なのだ。
それに、私はゴールが見えない働き方が苦手だ。何年働けば昇進できる、とか、そういうものには興味がないし、むしろ勤続前提だと気が滅入ってしまう。
賞与や退職金がない代わりにこちらからも辞めやすく、時給だから体調が悪いときには休んだり、遅刻・早退したりということもしやすい。
責任を負うのも、過剰な期待を背負わされるのも嫌だから、地位も部下も要らない。
上司からの評価に怯えるのも嫌だから、賞与よりも今もらえるお金が高い方がいい。
キャリアや今後のことを考えたら、きっとそろそろ正社員雇用を考えた方がいいんだろうけど、正直、派遣としての生活が気に入ってしまって転職活動をする気になれない。
学歴がもったいない。親不孝。いろいろ言われた。
我ながら、クズだと思う。
でも、今が楽で楽しい。
大層なことを言う気はないし、書く気もない。
ぼんやり能天気に暮らし過ぎて、毎日がシャボン玉みたいに儚く感じて、あとは最初の会社でムカついたことや虚無を感じたことも忘れそうになってきて、何か書き起こしておこうかなと思うようになった。
ただ、ひとつだけ言えるとしたら、新卒で転職先も決めずにさっさと会社辞めてもなんとかそれなりに楽しく生きていけるんだってことが伝わったら嬉しい。毎日苦しくて、電車の線路に引き込まれそうになったり、毎日泣いたりしてる人とかに。
若くして死ぬぐらいなら、選択肢の一つとしてはアリなんじゃないかなって思ってるので。